Ⅰ. Financial Well-being for All

すべての世代を支える金融サービスの提供

すべての世代を支える金融サービスの提供

私たちが目指すFinancial Well-being for Allとは、あらゆる人々が経済的な安心感を持ち、未来に希望や目標を描き、人生の可能性を広げながら前向きに挑戦できる状態です。

しかし現実には、先進国市場では将来不安が消費や行動をためらわせ、新興国市場では保障や金融サービスが十分に行き届かず、不測の出来事が人々の生活や企業活動を大きく揺るがしています。

こうした課題に向き合うため、お金を「不安の源」ではなく、「未来へ踏みだす力」に変えていきます。暮らしを守る保障に加え、資産形成・承継を通じて世代を超えた安心を支え、人々が自らの人生を設計し、豊かに暮らし、挑戦できる力を育みます。

また、企業の資金調達手段の多様化を支援することで、企業の財務健全性の向上や持続的成長、経営の安定にも貢献し、雇用や所得の安定を通じて、家計の安心にもつなげていきます。

国や地域を超えて金融サービスを届け、より希望に満ちた世界を実現します。

当社グループは現在、財務・非財務両面からの経営の高度化に注力しています。その重要な要素の一つであるコア・マテリアリティをより具体化するため、2025年度は、コア・マテリアリティの解決に向けた取組みがどのように社会価値と財務・企業価値に繋がるかについて社内外の関係者と議論を深め、優先して取り組むテーマを明確化しました。
Financial Well-being for Allに関しては、下記の2つの優先テーマを策定しました。

優先して取り組むテーマ起点となる社会課題と当社グループが取り組む理由
① 「まもる」「ふやす」「つかう」を通じた多様な“Life”の応援
  • お客さまのニーズが多様化する中、自助努力による資産形成や資産寿命の延伸が社会課題となっています。そのような中、一人ひとりの金融リテラシーを更に高めていくことは重要なテーマであり、日本でも「貯蓄から投資へ」の流れは進展の途上にあります
  • また、将来への不安は消費の抑制、そして“豊かさ”の低下にもつながる可能性があります
  • 私たちは保険サービス業へと変革し、「保障」と「資産形成・承継」の両面による経済的な安心感に加え、充実した消費生活に資する選択肢を提供することで、あらゆる人々のfinancial well-beingの実現に取り組んでいきます
② アジアの保障ギャップの解消
  • 社会保障が十分でないアジア諸国が多い中、生命保険の浸透率は依然として低く、必要とする人に十分に保障が行き届いていません
  • 医療費などの突発的な自己負担が家計を直撃し、それが「貧困の固定化」につながることも課題です
  • 私たちはグローバルで事業展開している生命保険グループとして、ベトナム・カンボジア・ミャンマーの現地子会社やサステナビリティ・テーマ型投融資を通じて、国や地域を超えて、あらゆる人々に適切な保険サービスを届けられるよう取組みを推進していきます
注)優先テーマおよび取組内容によって取組主体が異なります

優先テーマ① 「まもる」「ふやす」「つかう」を通じた多様な“Life”の応援

保障と資産形成・承継の一体的な価値提供

保障と資産形成・承継の一体的価値提供によるLTVの最大化

人生100年時代を迎え、お客さまが抱える金融課題は、万一への備えだけでなく、資産形成や資産活用、次世代への資産承継へと広がっています。こうした環境変化を踏まえ、保障と資産形成・承継を一体的に提供することで、お客さまのFinancial well-beingの実現に貢献していきます。
具体的には、第一生命の生涯設計デザイナーをはじめ、代理店やWebダイレクトなど多様なチャネルを通じて、若年層における資産形成支援から、働き盛り世代の保障と資産活用、シニア層における円滑な資産承継や相続対策まで、一人ひとりのニーズに寄り添った保障と資産形成・承継の一体的価値提供を実現していきます。

金融・資本市場の活性化への貢献

当社グループは、機関投資家として成長資金を供給し、日本企業の成長と家計への還元という好循環の実現を目指しています。その一環として国内社債市場の活性化に取り組み、低格付企業への投資機会の拡大や、証券会社と協働した起債促進を通じて資本市場へのアクセス拡充を推進しています。また、経済産業省の社債市場の在り方に関する研究会に生命保険協会の一員として出席し、「社債発行のガイドブック」発行に寄与するなど、機関投資家としての実務的知見に基づく意見発信を行っています。

金融・資本市場の活性化への貢献の概念図

「保障と資産形成・承継の一体的な価値提供」の詳細は、サステナビリティレポート(P26~31)をご参照ください。

福利厚生の充実による豊かな消費生活の支援

日常Lifeに寄り添うサービスの提供

人口減少と成熟社会の進展に伴い、日本国内経済の活性化は課題となっています。こうした中、人々の豊かな消費生活の実現に向けては、一人ひとりが「たのしく、かしこくつかう」ことのできる環境づくりが不可欠です。当社グループは、多様なニーズに応えるプラットフォームを構築し、日常生活の選択肢を広げることで消費の質と満足度の向上に貢献しています。
業界最大級の福利厚生プラットフォーム「ベネフィット・ステーション」は、国内外140万件のサービスを取り揃えており、グルメ・レジャー・ショッピング・スポーツ・旅行関連だけではなく、教育の支援や健康・医療に係るメニューなど、従業員の日常生活やキャリア開発などを総合的にサポートしています。これらのメニューは、単なるコスト削減にとどまらず、従業員が自分らしい生活を選択できる余裕を生み出すことも目的としています。

ベネフィット・ステーションの特徴。業界最大級だからこそ実現できる割引優待。全国で利用できる。二親等以内のご家族対象。困った時のコールセンターも完備。サービス数は140万以上。市場最安値でサービスを利用可能。健康・スポーツ、スキルアップ、暮らし、育児・介護・ライフイベント、オリジナル企画・サポート、レジャー・エンタメ、グルメ、リラク・ビューティー、ショッピング、トラベル。

「福利厚生の充実による豊かな消費生活の支援」の詳細は、サステナビリティレポート(P32)をご参照ください。

金融経済教育

金融リテラシー向上に係る取組み

第一生命は、すごろく形式のゲームを楽しみながら、人生を疑似体験できる教材「ライフサイクルゲームⅢ~生涯設計のススメ~」を活用し、消費者教育・金融経済教育の支援を行っています。本教材は、表面が「ヤング・ミドル版」(20代就職から65歳定年退職まで)、裏面が「シニア版」(65歳定年退職から100歳まで)で構成されており、結婚や住宅購入などのライフイベント、病気・ケガのリスク、振り込め詐欺や架空請求といった消費者被害の事例について学ぶことができます。全国の学校や自治体、企業の新入社員研修のほか、小学生向けの親子教室や地域住民向け講座など、幅広い場面で活用されています。

人生を疑似体験できる教材「ライフサイクルゲームⅢ~生涯設計のススメ~」

アセットマネジメントOneは、個人の資産形成を支える商品・サービスを提供する「受託者」としての役割に加え、資金供給および投資先企業との対話(=エンゲージメント)を通じて企業価値向上に貢献する「責任ある投資家」としての役割も担っています。「投資の力」を通じて、個人の人生や社会の豊かさをはぐくむことを目指し、2023年10月には金融経済教育を専門に担う社内組織として「未来をはぐくむ研究所」を設置しました。子ども・学生・教員・社会人などの幅広い層に向けて、中立・客観的な立場での情報発信を継続的に行っています。
バーテックス・インベストメント・ソリューションズは資産運用経験や金融知識の異なる幅広いお客さまに向け、資産運用に関連した情報発信や金融セミナーの開催などを行い、お客さまの将来に向けた資産形成の取組みを支援しています。YouTubeでは投資信託や新NISA制度などの解説動画を発信、会社HPでは市場動向を専門的に解説したコラムなどを掲載しています。

「金融経済教育」の詳細は、サステナビリティレポート(P33~35)をご参照ください。

優先テーマ② アジアの保障ギャップの解消

アジア進出国における保険事業の展開

第一ライフ・ベトナムにおける取組み

第一ライフ・ベトナムは、2007年に進出し2027年に20周年を迎えます。この間、保険販売を通じたベトナム国民への保険普及に加え、CSR活動にも力を入れて取り組んできました。
保険普及に向けては、第一ライフ・ベトナム専属の個人代理人チャネルと、地場銀行との販売提携を通じた銀行窓販チャネルの両輪により、お客さまニーズに応じた保険商品を提供してきました。個人代理人チャネルでは、保険料を柔軟に調整しながら保障と積立を両立できる貯蓄型のユニバーサル保険や、運用成果に応じて受取額が変動するユニットリンクを主力商品として販売してきました。また、先進的な取組みとして、2013年10月より、ベトナム市場で初となる個人年金保険を販売し、保障ニーズに加えて長期的な資産形成ニーズにも応える商品ラインアップを整備しました。CSR活動面では、健康・環境・教育・地域コミュニティ支援を柱に、白内障患者への無償手術支援や、農村部でのインフラ整備、学校への浄水設備寄贈、奨学金の提供など、継続的な支援を行ってきました。

第一ライフ・カンボジアにおける取組み

第一ライフ・ベトナムで蓄積した事業運営ノウハウの横展開として、若年層が人口の大宗を占めるカンボジアに当社は着目し、2018年に第一ライフ・カンボジアを設立しました。カンボジアでは保険事業運営のノウハウを有した現地人財の十分な確保が困難であることが予想されたため、営業・商品開発・保険引受・契約保全・保険金支払などのさまざまな機能において第一ライフ・ベトナムやシンガポールの地域統括会社メンバーがノウハウを共有し、現地で採用した人財を育成してきました。

第一ライフ・ミャンマーにおける取組み

ミャンマー政府は2018年に保険市場の発展のため外資系生保へ市場開放を決断し、2019年に当社グループは第一ライフ・ミャンマーを設立し進出を果たしました。
第一ライフ・カンボジア設立時と同様に、第一ライフ・ベトナムのノウハウを活かして、事業基盤を迅速に整備することが出来ました。同社では個人代理人チャネルと銀行窓販チャネルを通じて養老保険を中心に保険を提供していますが、地場最大手の銀行と独占販売提携に成功し、近年急速にプレゼンスを高めています。

「アジア進出国における保険事業の展開」の詳細は、サステナビリティレポート(P37~38)をご参照ください。

金融包摂

金融包摂に対する考え方

金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)とは、「すべての人々が、経済活動のチャンスをとらえるため、また経済的に不安定な状況を軽減するために必要とされる金融サービスにアクセスでき、それを利用できる状況」を指します。
世界人口の約半分が基本的な医療サービスを受けられておらず、低所得者層ほど医療費の自己負担で貧困に追い込まれているという調査もあります。
保険業を中心としている当社グループでも、金融包摂を重要な社会課題と認識しています。

日本 第一ライフグループ 第一生命 第一フロンティア生命 第一ライフチャレンジド
北米 プロテクティブ
アジアパシフィック 第一ライフ・ミャンマー 第一ライフ・カンボジア 第一ライフ・ベトナム バニン・第一ライフ TAL スター・ユニオン・第一ライフ パートナーズ・ライフ
 商品・サービス顧客数/契約数
TAL Daiichi Life Australia
TAL
TALでは、2022年に保険引受ガイドラインを改正し、HIV 感染者も生命保険、所得補償保険、および高度障害保険(TPD)への加入が可能になる仕組みづくりに取り組んでいます。2025年4月から2026年3月まで、個人保険と団体保険の合計で40名のHIV感染者のお客さまにご加入いただきました。また、保険の継続を希望しながらも保険料のお支払いが困難なお客さまを支援するためのFinancial Hardshipポリシーや、自然災害の被害を受けたお客さまに対して最大2か月間の保険料免除を提供するNatural Disasterポリシーを策定しています。HIV感染者のお客さまにご加入いただいた数:40名
(2025年度)
Daiichi Life Vietnam
第一ライフ・ベトナム
第一ライフ・ベトナムは、ベトナム国民に長期的な社会保障を提供するという目標のもと、ベトナム全土にわたってネットワークを持つベトナム郵便などを通じて、マイクロインシュアランスを提供してきました。加えて、デジタル時代の顧客層の保険加入へのハードルを取り除くべく、第一ライフ・ベトナム独自のオンラインプラットフォームやパートナー銀行であるLPBankのオンラインプラットフォームを通じて、申込や保険金受取などの各種手続きを簡素化した保険商品の販売に取り組んでいます。
(現在はベトナム郵便経由でのマイクロインシュアランスの新規販売は停止しています。)
ベトナム郵便を通じて提供したマイクロインシュアランスの保有契約件数:1,525件
第一ライフ・ベトナム独自のオンラインプラットフォームでのマイクロインシュアランス販売:顧客数52名、契約数52件
LPBankでのマイクロインシュアランス販売:顧客数2,915名、契約数2,915件
(2026年5月時点)
Daiichi Life Cambodia
第一ライフ・カンボジア
第一ライフ・カンボジアでは、カンボジアの所得の少ない層でも利用しやすいように、低廉な保険料で医的診査不要のデジタル保険プラン「BrightLife」を提供しています。最低保険料は年間20米ドルと手頃な価格となっており、保険の見積もり、加入、保険金の申請から支払いまですべてオンラインで完結することができます。
(現在、BrightLifeの新規販売は停止しています)
BrightLifeの保有契約件数:44件
(2026年3月末時点)
Daiichi Life Myanmar
第一ライフ・ミャンマー
第一ライフ・ミャンマーでは、モバイルウォレットプラットフォームである「KBZPay」を活用し、移動制限が継続している地域のお客さまや、銀行口座を持たないお客さまも簡単に保険料のお支払いをいただけるよう、便利で効率的な決済方法の提供を実現しています。「KBZPay」アプリを含むモバイルウォレットプラットフォームを使用して保険料を支払った割合:約90%
Star Union Dai-ichi Life Insurance
スター・ユニオン・第一ライフ
スター・ユニオン・第一ライフでは、「Insurance for All by 2047(2047年までに全てのインド国民に保険を提供する)」というインド保険監督当局のスローガンの下、政府が推進する低コストの団体保険 「Pradhan Mantri Jeevan Jyoti Beema Yojana(PMJJBY)」を、インド全土に販売網を持つパートナー銀行を経由して対面販売を行い、国民の保険普及に大きく貢献しています。
その契約件数は2026年3月時点で約1,349万件にもなり、スター・ユニオン・第一ライフはインド生命保険会社の中でも有数のマイクロインシュアランスの提供者となっています。
PMJJBYの保有契約件数:約1,349万件
(2026年3月時点)
 取組内容定量的社会インパクト(KPI)
Protective
プロテクティブ
プロテクティブでは、将来世代への教育支援の一環として、本社が所在するアラバマ州にて「Junior Achievement(JA)」の活動を支援しています。同団体は、若者がグローバル経済の中で成功するために必要な力を身につけられるよう、キャリア探索や職業準備、金融リテラシー、ビジネスおよび起業家精神など、現実的かつ実践的な教育プログラムを提供しています。本プログラムを通じて支援した若者の人数:22,000名以上
(2025年度)
TAL Daiichi Life Australia
TAL
TALでは、ドメスティック・バイオレンスおよびファミリー・バイオレンス支援ガイドを策定し、被害を受けたお客さまの支援に取り組んでいます。被害を受けたお客さまが迅速に必要な支援を受けられるよう、社内でエスカレーション・プロセスを設け、さらに、より専門的な支援サービスを提供するため、外部のカウンセリング・サービスとの提携も実施しています。ドメスティック・バイオレンスおよびファミリー・バイオレンスを受けたお客さまへの対応件数:15件
追加カウンセリングの提供数:4件
(2025年度)
Daiichi Life Myanmar
第一ライフ・ミャンマー
第一ライフ・ミャンマーでは、準都市部や農村部に住む人々が生命保険のエージェント業務を通した収入機会を得るためのトレーニングプログラムを提供しています。このトレーニングは金融リテラシー、ファイナンシャルプランニング、生命保険など幅広い分野をカバーするだけでなく、ソフトスキルや顧客サービスといった分野も含むことで、長期のキャリア開発を支援し、個人が持続的な収入を得ることを可能にします。
このプログラムを通し採用されたエージェントのうち、優秀なエージェントは、ビジネスリーダーとしてそれぞれの地域でエージェントの採用と研修を行っています。
新規エージェント採用数:7名
ビジネスリーダーとなったエージェント数:1,377名
(2025年度)
Star Union Dai-ichi Life Insurance
スター・ユニオン・第一ライフ
スター・ユニオン・第一ライフでは、農村部の女性の地位・収入向上を目的とした複数の支援プログラムを展開しました。
その中でも「Bima Sakhi Insurance Buddy」プロジェクトでは、金融・保険に関する意識向上のための研修を実施しており、2025年6月時点でマハラシュトラ州、マディヤ・プラデーシュ州、西ベンガル州の3州において1,260人が参加しました。さらに、選抜された研修受講者を対象に、保険の重要性と同社商品にフォーカスした専門プログラムも実施しました。
同社はこれらの取組みを通じて、生命保険へのアクセシビリティ向上を目指すだけではなく、インドにおける女性の雇用機会の創出とスキルアップにも貢献しています。
Bima Sakhiプロジェクトに参加した女性の数:1,260人以上、選抜プログラムを受講した女性の数:200名(2025年6月時点)

「金融包摂」の詳細は、サステナビリティレポート(P39~40)をご参照ください。