
「そして、レースは何重にもたくさん。ここと、ここ。それと、ここにもね」。私は一語一語を強調するように、ペンをメモ帳にトントンと叩きました。するといとこは、何度も熱心にうなずいてくれました。8歳と10歳だった私たちは、まるで結婚式が目前に迫っているかのように、ウェディングドレスのデザインを丹念に見直していたのです。親たちが夕食の準備をしている間、私といとこは、花嫁の華やかな入場シーンを細部までリハーサルしていました。
子どもの頃、このような空想を抱いていたのは私だけではないでしょう。けれども、その「ごっこ遊び」が、今のキャリアにどうやってつながっていくかについては、当時の私はまったく気付いていませんでした。すべては、2021年の私自身のささやかな結婚式、そして、1年後に開かれた盛大なパーティーから始まりました。夫と私は、結婚パーティーの準備のために、数え切れないほどの混沌としたスプレッドシートやメール、請求書、記録、付箋を処理していました。
この複雑な事務作業を円滑に進めるためのツールがないことに私は打ちのめされましたが、一方で、この混乱を解消することで、自分の生計を立てられると気付いたのです。
伝統的な形ではなかった私のキャリア
私が結婚式の準備のなかで気に入っていたのは、そのシステムや運営の側面でした。しかし、私がそういう志向性を持っていると気がつくには、結婚式のプランニングに加えて、いくつかの仕事を経験する必要がありました。大学を卒業した後の夏、私は正社員の仕事を探しながら、中学生や高校生の家庭教師として働いていました。働き始めてわずか数日で、その家庭教師会社が、運営面で完全に混乱していることがわかりました。そこで私は、宿題や練習用のフラッシュカードを活用し、電子記録に移行するための計画を立て始めました。
次の職場は、小規模なマーケティング会社でした。働き始めて数カ月後、そこは当初予想していたよりもまとまりがないことに気付きました。最初は気に入っていた風変わりな業務のやり方が、次第に気になってきたのです。私は再び、業務の効率化を画策し始めました。
その次の職場では、自分のスキルが真に活かされる場を見つけました。ユニコーン企業のカルタ(Carta)で、オペレーションスペシャリストのチームを率いることになったのです。この経験が、後に私が立ち上げたウェディングプランニング事業において、極めて重要なものとなりました。
混沌のなかで、ベストな仕事をする
何カ月にもわたる結婚式の準備の間、私の頭に繰り返し浮かんでいたのは、「なぜこんなに大変なんだろう?」という思いでした。米国では毎年約250万組もの人々が結婚しているというのに、私(そして私が知るすべての婚約者たち)はまるで、一からすべてをつくり直さなければならないかのように感じていました。その過程はとてもいら立たしく、時間もかかりました。
そして、夫と私が結婚式の準備という構造的な混乱を切り抜けようとするなかで、私はこう思うようになりました。「誰かがこの問題を解決すべきだ。細部にこだわる人、運営者としても消費者としても物事を考えられる人、そして、混沌とした状況に秩序をもたらすことを好む人が」
その瞬間、点と点がつながり始めました。私の職歴を見た人は、文脈を知らなければ、そこに一貫性を感じられないでしょう。しかし私は、これまでの私生活や仕事での経験すべてが、この挑戦へと導いてくれたのだと気付きました。私はこの挑戦に正面から立ち向かう準備ができている、と思ったのです。
自分の興味関心は、キャリアのヒントになる
どのようなキャリア(職業)が存在するかを知る前から、私の考え方や問題解決の仕方には、共通の特徴がすでに表れていました。私はもともと、システムや構造が好きでしたが、その感覚については、仕事の秘密兵器としてではなく、個人的な関心事として捉えていました。業務環境を改善したいという自分の意欲を、時には、目の前の仕事から気をそらす逃避かもしれない、と思うこともありました。また、上司は必ずしも提案を歓迎してくれるわけではなく、迷惑がられることもありました。
以前の職務では、混乱したシステムや非効率なプロセスに対して、権限も管轄権も与えられていませんでしたが、それでも、私は関わることをやめられませんでした。自分の視点がどんなに独特なものか、当時は気付いていませんでした。非効率な点を特定するのは、私にとってごく自然で容易なことだったため、ほかの人にとっても同じだろうと思い込んでいたのです。
自分の考え方に注意を向けることは、なぜ重要なのか
社会に出るための進路を決める際、人々は「何に情熱を持っているのか」「将来何になりたいのか」と問いかけてきます。私たちは履歴書を作成し、カバーレターを書き、自分がこれまで主導したプロジェクトや、達成した成果を強調します。しかしその過程で、自分にとって自然な感覚を見落としてしまうのです。
私たちは、組織やチーム、役割のなかに身を置いてきましたが、立ち止まって、重要な問いを自分に投げ掛けることはありません──「私はどのように考えるのか?」「自分の脳は、どのような課題を解決するようにできているのか?」「自分の人生において繰り返し現れる共通したテーマは何で、それをじっくり見つめたことがないのでは?」といった問いです。
そこにはたいてい、一貫した流れがあります。ただ、私たちがそれを探そうとしないだけです。
10歳だった私は、「パチン」と心地よい音を立ててメモ帳を閉じました。私はちょうど、いとこにこう説明したところでした。花婿のミスター・ベアが階段に到着した瞬間、入場曲が正確に始まるようにしないといけない。そうすれば、祭壇にたどり着く頃には、音楽が完璧なクレッシェンドに達するから。
椅子はどれもまっすぐ。タイミングは完璧。すべてが計画どおりです。
今思えば、私は「花嫁になったつもりのごっこ遊び」をしていたわけではありませんでした。「式の流れ」をデザインしていたのです。喜びに満ちた、何の努力もない瞬間に向けて、感情の順序を組み立て、構造を築いていたのです。システムやオペレーション、ユーザー体験といった言葉を知るずっと前から、私はすでに、祝福の背後にある構造に引かれていたのです。
あなたも子どもの頃に、結婚式のおままごとをしていたかもしれません。そしてそれは、私の体験とは全く違うものだったかもしれません。よく観察して、その情景のどこに関心を引かれるのかを考えてみてください。もしかしたらあなたはその頃から、その後ずっとやっていくことを予行練習していたのかもしれないのですから。
この記事は、Fast CompanyのHannah Rozeが執筆し、Industry DiveのDiveMarketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。



