手術で救える未来を子どもたちに。 第一生命ミャンマーが届ける希望の医療支援。

第一生命ミャンマーは、現地で国際医療NGO「ジャパンハート」とともに、適切な医療を受けられない子どもに手術や治療の無料提供を始めとする医療支援を行っています。それは拠点を置く地域の子どもや家族の健康と幸せを支えることを使命と考えているからです。第一生命ミャンマーがどのような支援活動を行っているのか、現地の子どもたちがどんな課題に直面しているのかをリポートします。
適切な医療が受けられないために、未来を描けない子どもたち
世界には、医療を受けられずに命を落とす子どもが今も大勢います。例えばミャンマーでは、4%の子どもが、5歳の誕生日を迎える前に命を落としている現状があり、これは日本の20倍の数字です。その大きな理由は、日本のように医療保険制度が整っておらず、生活保護や障がい者支援などの制度もないことから、患者が負担する医療費が高額になり、貧困家庭では医療に手が届かないこと。また国全体で医師が少なく、そのほとんどが都市部の病院に集中しているため、地方や農村部では医療環境そのものが整っていないことも挙げられます。医師がいない地域では看護師やコミュニティヘルスワーカーが治療に携わることになりますが、その人手も非常に少なく、人口1,000人あたり0.3人(日本は9人)と逼迫した状況が続いています。さらに現地の伝統療法を重んじる傾向が強いため、適切な医療にたどり着くことができない例も少なくありません。
ミャンマーが抱えるこうした健康課題のひとつに、子どもの「口唇口蓋裂」があります。口唇口蓋裂とは、唇、口蓋、歯茎が裂けた状態で産まれてくる状態のこと。日本でも500~600人に一人の割合で口唇裂・口蓋裂の子どもが出生していますが、治療によりほぼ機能回復が見込める疾患とされています。一方、ミャンマーでは医療体制が整っていないために、治療の機会を得られない、あるいは治療を受けても十分機能が回復しないまま成長するといったケースが多く、発音障害や接触障害、外見へのコンプレックスなど、社会生活や健康への影響が課題となっています。
このような状況を少しでも打開すべく、第一生命ミャンマーは、国際医療NGO「ジャパンハート」とともに、治療費を負担できない子どもたちに口唇口蓋裂手術の無償提供に取り組んだのです。

国際医療NGOジャパンハートとの出会いがきっかけに
第一生命ミャンマーがこの取り組みを始めたきっかけは、2020年のジャパンハートとの出会いにさかのぼります。第一生命ミャンマーのコミュニケーションディレクター、キーン・メイ・リンに話を聞きました。「当社には企業行動規則として掲げるDSR(Dai-ichi’s Social Responsibility)という考え方があります。この考え方に基づき、地域社会の発展、地域に暮らす人々の健康増進に寄与する企業であろうとしています。ジャパンハートと提携が始まったのもこの理念を行動に移したものです。当初はジャパンハートが現地で運営する児童養護施設『ドリームトレイン』に、タブレット端末や学用品などの教育ツール、サッカー、フィットネスダンス、水泳などのウェルビーイングプログラムの提供、ITプログラミング講座などを提供してきました。こうした取り組みを通して、私たちは子どもたちの未来を支えるためには教育だけでなく、医療的支援も重要であることを学びました。同時にジャパンハートが医療専門性でも子どもたちへの愛情でも卓越していることを実感し、より強いパートナーシップを結んでいきたいと考えたのです」

“303件”という手術は、未来を手にした一人ひとりの笑顔の数
こうして2023年に始まった医療支援。手術や術前術後の投薬、経過観察の費用だけでなく、患者やその付き添いの家族の食事が必要な場合は、それらも含めて、すべて提供しています。ネピドーとマンダレーで口唇口蓋裂の手術を無償で行う支援を開始し、その後タウングー、パテイン、バゴー、ミェイク、モーラミャインと徐々にそのエリアを広げていきました。「私たちが何より大切だと考えているのは、さまざまな地域の子どもたちが、経済的な状況に左右されることなく、必要な手術を受けられるようにすること。それを目指して拡大してきました」とリン。2023年から2026年3月の間に、303人の手術を行ってきました。「この数字は、単なる手術数ではありません。これから広がる人生の旅路が良い方向へと変わった子どもの数です。自信をもって笑顔を見せられるようになった子、楽に呼吸できるようになった子、以前より健康な状態で学校に通えるようになった子。そういう一人ひとりの子どもなのです」
手術を受けた子のご両親は、長年支援を求めていたという方も少なくありません。「『ようやく親としての責任をひとつ果たせました』と安堵の表情を見せる方もいます。こういう場面に遭遇すると、私たちが提供しているのは単なる治療ではなく、一人ひとりの尊厳と希望を届けているんだと実感します。まだまだやるべきことは山積みですが、これからの若い命を支える一翼を担っているのだという思いを胸に、支援を続けています」
子どもたちへの医療がこの先も守られるために、私たちにできること
第一生命ミャンマーにとって、ジャパンハートとの出会いは支援への大きな一歩となりました。同時にジャパンハートにとっても、この連携は非常に大きな意義があるといいます。「第一生命ミャンマーの皆さんは、一人ひとりが誠意と強い目的意識をもってこのプロジェクトに取り組んでくださっています。単なる知見や資金、マンパワーだけでなく、この強い思いに基づいているからこそ、私たちの提携は意義深く、また地域社会への影響力のあるものとなっていると感じています」とジャパンハートの担当者も語ってくれました。
とはいえ、「まだまだやるべきことは山積み」とリンは語ります。実際、ミャンマーの抱える医療の課題解消までには遠い道のりがあります。「小児専門医療機器や訓練を受けた専門医が圧倒的に不足している地域があるなど、医療の地域格差が大きいことは、重大な問題だと考えています。この課題を解決するため、私たちは手術の無償提供と並行して、日本の小児医療専門家の派遣、現地の小児病棟での治療支援、現地外科医への技術研修、必要な地域への必須医療機器の寄贈などに取り組んでいます。目の前の子どもたちを一人でも多く治療することと、将来の子どもたちのために長期的に医療体制を強化すること、この両軸でのアプローチを大切にしています」
また医療支援は、平常時だけにとどまりません。ミャンマーは2025年3月にマグニチュード7.7も大規模な地震に見舞われましたが、こうした自然災害被災地に義援金を送るとともに、ジャパンハートの医療チームと連携し、緊急医療チームの派遣、手術室設置への寄贈、移動診療ユニットや臨時外来診療所の設置などを行っています。

第一生命ミャンマーでの医療支援を生かし、誰もが幸せに暮らす社会へ
こうした活動の根底には、第一生命ミャンマーの熱い思いがあります。「私たちは、企業としての活動を通して次世代を力づけるという信念をもっています。ミャンマーの子どもたちが心身ともに健康に育ち、自信をもち、教育や人生のチャンスに希望をもって前に進める環境を作るという使命があるのです。そのために、経済的な支援だけでなく、地域社会との密接な関わりを通して、信頼関係を結び、また専門組織と連携して変化を起こしていかなくてはなりません。これは第一生命ミャンマーだからこそできることだと自負していますし、私たちの役割をしっかり果たしていきたいと思っています」
今後も挑戦は続くーーリンは、そう固く決意しています。「現在の児童支援を継続しつつ、支援範囲の地理的拡大と、災害発生時の緊急支援体制を整えていくと同時に、現地医療従事者の育成にもさらに力を入れていきます。現地に専門的な知識や技術が蓄積されていくことは、世代を超えた財産として育まれていくでしょう。ミャンマー全土で高度医療がより身近なものになるよう、力を尽くしていきます」
そしてこの経験は、ミャンマーにとどまらず世界へと続きます。「今、世界は脆弱性と不確実性の中にあり、その結果どの国でも子どもや家族が社会的課題に直面しています。アジア・パシフィック、北米などグローバルに事業を展開するDaiichi Lifeグループとして、私たち第一生命ミャンマーの知見を継続的に活かすことによって、今後世界各地、特に支援が行き届きにくい地域のコミュニティに必ず貢献できるでしょう。第一生命グループが拠点を置くあらゆる地域で、人々の幸福と機会均等を推進すること、これが私たちの目指す未来です」




