世界の人の、生き方ひろげる。「予測できない毎日」を切り開く、海外事業担当者の想い

株式会社第一ライフグループ

日本で培ってきた力を、世界へ。2007年にベトナムで産声をあげた当社グループの海外事業は、いまではアジアからオセアニア、北米、欧州へと広がり、生命保険を軸に資産運用をはじめ新たな領域にも事業を広げています。海外生保事業ユニットで北米・欧州戦略グループ長を務める島﨑哲志が、海外事業ならではの難しさややりがいから、イギリスの生命保険・資産運用大手であるM&G社との提携の裏側、その先に見据える未来まで語ります。

海外事業スタートから20年。グループの利益の約半分まで成長

―はじめに、これまでの海外事業の歩みを教えてください。

島﨑:ちょうど私が入社した2007年が、当社の海外事業の元年でした。「第一生命ベトナム」が事業を開始し、社内に本格的な国際部門が立ち上がったんです。それまで国内のみで事業を展開していた当時、海外で生命保険事業を手がけるという決断は、相当な勇気のいるものだったと想像します。

そこからアジアやオセアニアを中心に展開国を広げ、現在はインド、インドネシア、カンボジア、ミャンマー、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、そしてイギリスへと広がっています。20年足らずの歴史ではありますが、いまではグループの利益の半分近くを担うことを期待される大きな柱に成長しました。

—新しい市場へ進出する際は、どのような観点で検討を進めているのでしょうか。

島﨑:期待されている役割から、まずは最も確実に収益に直結する地域はどこかを見極める財務的な視点です。加えて、進出先は、それぞれ国の経済成長の段階も、市場の成熟がピークを迎える時期も異なります。ある国がピークを迎える頃に別の国が伸びてくるといったように、各国の事業をバランスよく組み合わせ、現在だけでなく10年、20年後も安定した収益を生み出す視点も重要です。

ただ実際のところ、教科書どおりではないことも多いですね。人と人とのつながりから話が持ち込まれ、そこから調査を行って本格検討を進めることも多いです。理論も大事ですが、縁や巡り合わせもまた、現実には大切な要素です。

大切なのは「人と人との信頼関係」。誠意を持って向き合い続ける

―地域ごとに文化も市場も異なるなかで、事業を進める際に何を大切にしていますか?

島﨑:調べて、学んで、予測することはもちろん必要です。ただ、どんなに大きな事業でも、最終的に一番大切になるのは人と人との信頼関係だと考えています。

われわれの仕事には、常にさまざまなステークホルダーがいます。目指すゴールは同じでも、細かな利害は異なるもの。だからこそ、それをきちんと理解したうえで、たとえすべての要望に応えられなかったとしても、できる限り向き合う。応えられないときは、その理由を自分の言葉で誠意を持って伝える。そういった姿勢を見せ続けることが大切だと思っています。

これは、海外事業に限った話ではないかもしれません。ただ、海外では文化の違いなどから容易には理解し合えない場面が普段より多い分、私自身より強く意識してきたところです。

―現地の人々との信頼関係という観点で、印象に残っているお仕事はありますか?

島﨑:ある国の事業会社で、株主の立場から、取締役会の運営や構成が健全・最適かどうかをチェックする、いわゆるコーポレートガバナンスのレビューを行ったことがあります。現地の重鎮の取締役たちにとっては、若手の私にあれこれと言われるのは心地よい話ではなかったはずで、最初は緊張関係もありました。

それでも誠意を尽くして向き合う日々のなかで、一つの転機になったのは、彼らが来日する際の視察プログラムを組み、日本を案内してまわったことでした。その旅を通じて打ち解けることができ、最終的に私の帰任が決まって取締役会で報告した際に、「取締役会として、君の帰国に対し拒否権の行使を決議する」と冗談で言ってくれたんです。とても嬉しく、胸が熱くなりました。

—海外事業ならではの仕事のやりがいについて、教えてください。

島﨑:向き合う地域が変わるごとに、知っていることばかりだった環境から知らないことばかりの環境へ、毎度リセットされる感覚です。そして、どれだけ準備しても予測できない事態が必ず起こる。そうしたチャレンジが、私にとってはとても新鮮なもので、「生きている」感覚といいますか、充実感につながっていると感じます。

―まったく新しい環境で仕事をはじめる際、工夫していることはありますか?

島﨑:まず探すのは、その場所で必要とされていることと、自分にできることの交差する部分です。そこにこそ、自分が貢献できるチャンスや突破口があります。もう一つ、どんな場所にも、どんな組織にも、外から来た人間に興味を持ってくれる人が必ずいるんです。まずはそういう人を見つけ、素直に頼ることも大切にしています。

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M&Gには、私たちの未来に向けた学びがある

―2025年に発表されたM&G社とのパートナーシップは、どのような背景から生まれたのですか?

島﨑:一般に、生命保険事業と資産運用事業には強いシナジーがあるといわれます。生命保険は、お客さまの保険料を長期間お預かりし、運用して将来の支払いに備える事業のため、優れた運用力を持つことは大きな強みです。また、資産運用事業にとっても、生命保険が生み出す長期で安定した資金フローは強固な事業基盤になります。

だからこそ私たちは、グループの運用力・総合力をもう一段高めたいと考えてきました。その有力なパートナーとして白羽の矢を立てたのが、M&Gです。理由の一つは、会社の成り立ちが私たちとよく似ていることでした。イギリスで誰もが知る伝統的な生命保険会社を起源に、資産運用へと事業を広げてきた、その歩みは当社と重なります。

印象的だったのが、現地を訪ねたときのこと。当社には、第二次世界大戦で被災したお客さまへ保険金を届けようと奔走した歴史があるのですが、その話をすると「うちにも似た話がある」と。タイタニック号が沈んだとき、その遺族に異例の速さで保険金を支払ったのだと、当時の書類まで見せてくれました。企業文化の根底にあるものが似ているのだと感じましたね。

加えて、少子高齢化や新たな規制の導入が先に進むイギリスは、日本の少し先の未来図でもあります。そこで奮闘するM&Gには、私たちの未来に向けた学びがある。そう確信して出資に至りました。

―今後、M&Gとの提携を通じてどんなことに取り組む予定ですか?

島﨑:一つは、彼らが強みとする「バルクアニュイティ」という事業です。企業が抱える確定給付(DB)年金——加入者が将来受け取る額が予め決まった企業年金を、その資産と支払い義務ごと保険会社が引き受け、運用や給付を肩代わりする仕組みです。企業は年金のリスクを手放せ、加入者は給付を確実に受け取れる。主にイギリスとアメリカで発達し、確立された大きな市場です。日本にはまだないビジネスなので、彼らから学び、いずれイギリスなどで一緒に手がけられたらと考えています。

もう一つは、地域の広がりです。当社の資産運用事業はこれまで日本とアメリカが中心でしたが、イギリス・欧州に強いM&Gと組むことで、日米欧をつなぐグローバルな運用ネットワークを築いていきたいです。

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海外事業を通じて培ってきた「変化に応え続ける力」

―最後に、海外事業の今後の展望を教えてください。

島﨑:海外事業は、人も資金もノウハウも何もないところから、社内外からのさまざまな支援を受けて始まりました。そこから20年、買収や提携、合弁、単独での立ち上げと多様な形で事業を起こし、軌道に乗せて安定させるまでのサイクルを何周も繰り返して、経験とノウハウを蓄えてきました。

なかでも大きな財産は、その一連のサイクルを経験した「人」を通じてグループ内に培ってきた、前例のない状況でも何とか道を見つけてやりきる力だと思います。

時代の変化に向き合える柔軟性は、企業が生き残るうえでとても重要なものです。海外事業を通じて私たちが培ってきたのは、そうした企業としての地力であり体力そのものだと思います。これからは、このような力をグループ全体に還元することで、よりよい循環を生み出していきたいです。

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